ほねをくれ

Memory 青春の骨なしチキン

40センチぐらい髪を切った話

長かった髪をバッサリ切りました。その長さ約40センチ。
 
理由は突然「髪をバッサリ切ろう」と思い立ったからです。
 
 
 
※以降、文中に私の髪型を指して「ショートカット」「ショート」というワードが出てきますが、長さと量感的に恐らく私の髪型は正確には「ボブ」です。ショートカット学会の方々には予めお詫び申し上げます。
 
 
 
思えば最後にショートカットにしたのは8年ほど前でした。切ったり揃えたりしつつ伸ばして、約7~8年間ロングヘア、最近だと美容院でロングヘア料金を通り越して超ロングヘア料金がかかるレベルのロングヘアでした。具体的に言うとだいたい胸下~へその上ぐらいまでありました。
 
何年もロングヘアにしていたのは、子供の頃に強制的に髪を切られていた反動だとか、女性アイドルが長い髪を揺らして踊っている姿を見ていいな~と思っただとか、切るのがめんどくさいだとか、その他色々小さな理由がポツポツと集まっていたからでした。手間がかかる手入れも何年もやっていれば慣れてくるので気にならなかったです。めんどくさいと思うことは多々あったけど。
かといってショートカットにしたいわけでもないし、自分はロングヘアの方が顔がマシに見えるタイプだと思っていたので、このままずっとロングヘアをキープしていこうと思っておりました。
 
それを一時の感情、突然の思いつきでバッサリと切ってしまおうというのだから心変わりとは、そしてメンヘラって怖い。切ると決めた当時薬の量が合わなくてめちゃくちゃメンがヘラっていたことは認める。
 
でも漠然と決めた訳ではなく、ある日風呂で突然「髪を切ろう」という閃きが落ちてきたんでございます私は。別に変な宗教とか入ってないです。ストロングゼロも飲んでないです。
「天啓」とか「突然の思いつき」とか「インスピレーション」とか「魔が差した」とか他にも呼び方は多々ありそうですが、とにかくその閃きが芽生えて以来、髪をバッサリ切ることを四六時中考えるし、切らないと気が済まない状態でした。「キャビン」っていうホラー映画の世界だったらたぶんこの後いとこの別荘に行ってる。
 
さらに不思議なもので、それまで自分の大事な一部だった長い髪が、切ろうと思った瞬間「積もり積もった老廃物」にしか思えなくなって、足指の長い爪を放置してるの不潔だから切ろう!みたいなノリで「老廃物は伐採だ」と思うようになりました。何年も頑張って手入れしてた髪を足の爪と同じ扱いとは残酷だな。キャビンならたぶんこの後ゾンビに襲われて死んでる。
 
 
ということを数日モダモダと考えてから、美容院を予約して髪を切ってきました。
結果、私の髪は40センチほど切られ、「超ロングヘア」から「ボブ」と呼ばれるぐらいまで短くなりました。40センチってすごいよな。A3紙の長辺ぐらいあるぞ。
 
直後の感想としましては
 
 
 

頭軽っっっ

 
 
 
なんだこの軽さ。まるで羽毛のように軽い。脳みそ入ってないんじゃないかってぐらい軽い。めっちゃ軽やか。むしろ重力ない。ヤバい。グラヴィティ。ヤバい。
 
長かった頃は常に髪に頭皮が引っ張られている感覚があって、頭の可動域が狭くなっているような錯覚をしていたのだけどそれが無い。360度回転できそう。やろうとしたけどできなかったごめん。
 
しかも手ぐしで髪をわしゃわしゃやっても梳いてもサッて終わる。サッて髪が指をすり抜けて終わるんですよ。長い時はサァ〜〜〜〜ッぐらいあったのに今サッで終わる。速い。スマホのロック解除より速い。
 
 
そして夜になり風呂に入ったんですが、
 
 
洗い終わるの速っっっ
 
 
そりゃそうだ。何せ40センチ分の髪を洗わなくて良くなったんだから。
2プッシュしていたシャンプーが半プッシュで済むんですよ。なにこれヤバくない???なんで半プッシュでこんなに泡立って洗いきれるの???すごくない???しかもすぐシャワーで流せる。パソコンの再起動より速い。
 
その後風呂から上がってタオルで拭いてドライヤーで乾かすんですが
 
 
乾くのも速っっっ
 
 
そりゃそうだ。何せ40センチ分の髪を乾かさなくて良くなったんだから。
2分ぐらい雑にブァーってやっただけでとりあえず乾くんですよ。実際乾ききってはないんですが「あとは自然乾燥でいいだろ」ぐらいまでに乾くんですよ。やばない???ていうかその前にタオルでグシャグシャ拭いただけであらかた乾くってやばない???Photoshopのアップデートより速い。
 
 
そこで気が付きました。今までロングヘアの維持は「苦」ではなかったんですが、決して「楽」ではなかったです。そこを履き違えて「別に苦じゃないからロングヘアでも良い」と思っていました。私が愚かだった。
ショートカット、マジ、楽。RAKU。楽すぎて飛びそう。合法的に。
 
「苦ではない」から「楽」へ。
 
これこそが人類の進歩なんだなきっと。
 
ほんと楽すぎてこれから死ぬんじゃないかなって気がしてる。電子レンジ普及した頃とかこんな感じなだったのかな。こんなに楽で感動したのフォトショのアクション機能の使い方覚えた時以来だよ。感動して若干泣きそう。
 
もう楽すぎてロングヘアに戻りたくないんですが、たぶんまた何年もかけて戻るんだと思います。わからんけど。
あと髪を切ったついでにインナーカラーを金髪にしたんですが、すっぴんだと眉毛が薄くて田舎のDQN状態なので眉毛を生やそうと思いました。
 
現場からは以上です。
 
 

 
 
 
【お知らせ】
2月9日、東京ビッグサイトで行われるコミティアに参加します。
スペースは西3Fの【M21b】です。
新刊のイラスト本が出る予定です。よろしくお願いします。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
(おまけ)
 
10歳ぐらいまで、私の髪を切るのは母でした。
理由は知りませんが、父も母も祖母も、長い髪が大嫌いでした。ちょっと私の髪が伸びると父と祖母は罵声を浴びせ、母は美容師でもないのに私を風呂場に連れて行き、嫌だ嫌だと泣きわめく私にゴミ箱を持たせ、私の髪をジャキンジャキンと切っていきました。
かといって可愛いショートにしてもらえるわけでもなく、ただ母の気が済むまで切られていくだけだったので、当然似合うわけもなく、学校ではいつも髪型をからかわれ笑い者にされていました。
母に髪を切られるたび、髪と一緒に自分の尊厳や希望も切られて捨てられていくような気がして、髪を切られた日の夜は親に隠れて一人で泣いていました。だんだんその思い込みは強くなっていき、髪を切られた後、ゴミ箱からこっそりと切られた髪を一房取って隠しておいて、時々それを見て泣く、ということもありました。
 
中学生に上がり、強制的に髪を切られることはなくなってから、徐々に髪を伸ばしていきました。長いのが鬱陶しくて自分の意志で短くしたこともありましたが、髪が長いことは親に強制的に髪を切られる地獄を脱した証であり、自分が自由であることの象徴だから、絶対にこのままロングヘアをキープしてやる。と、15年近く思っていました。
 
でも、年明けのある時突然、突然「ショートぐらいまで髪を切ろう」という強烈な閃きがやってきました。何だったのかはわかりません。ですがその閃き以降、何か憑き物が落ちたかのように、「自由の証」だった長い髪に未練はなくなり、髪を短くすることにも恐怖や怒りは湧いてきませんでした。
 
 
美容院に行くと、最初に美容師さんが「自分で切ってみていいですよ」とハサミを渡してくれました。あの頃、母が持っていた髪切りバサミに少し似ていました。
髪を鷲掴みにして、ジャキジャキと切っていきました。何年も伸ばして、ブリーチもして金色になっていた髪達が一瞬で身体から離れていって、私の手の中に収まりました。
 
15年以上も前、母に髪を切られた時の気持ちや記憶は今でも鮮明に残っています。今でもフラッシュバックが起こり、あの時の自分に引き戻されたかのような錯覚を受けることもあります。
その時、必ず最後には、ゴミ箱からこっそり回収して隠しておいた、真っ黒い髪束の映像が出てきました。
 
あれよりもずっと長くて、しかも金色になった髪の束。
 
面白いのか悲しいのかわからないまま笑い転げて、美容師さんと話しながら髪束を振り回して遊んで、席を立つ時に床にポイッと捨てました。
 
 
ああ~~こんなもんなんだなあ~~~~
 
 
 

 
(おしまい)